建材・住宅設備の通販ならミラタップ(旧サンワカンパニー) 開発者インタビュー

《ミニモラス》開発秘話:キッチンなのに天板だけ!?無駄なものを全て省いたカウンターキッチン

今回は、ミラタップ(旧サンワカンパニー)のロングセラー商品の1つでもある《ミニモラス》の開発秘話についてご紹介いたします。

《ミニモラス》

カウンターキッチンができるまで

―《ミニモラス》は当社の人気商品ですよね。開発の経緯を教えてください。

当時開発を担当した室田

当時開発を担当した室田

《ミニモラス》は2010年の秋に発売しましたが、開発を始めたのは2010年の春頃からです。当初は《ミニモ》という名前で発売しましたが、企画段階では“バンコ(イタリア語で立ち飲みカウンターの意味)”も候補に挙がっていました。
当時ミラタップ(旧サンワカンパニー)では《コンパクトキッチン430》《メタロ》などの数種類のステンレス製コンパクトキッチンを販売していましたが、売上が少し下がってきていたので、「10万円以下で買える安価なステンレスキッチンが作れないか。」と考えました。

発売当時のカタログイメージ

発売当時のカタログイメージ

―春に企画して秋に発売とはすごいスピードですね!

そうですね。当時は半年毎にカタログを発行していたので、新商品も半年に数点出していました。企画開発は創業者でもある当時の社長、商品部長、私で進めていました。
「無駄なものを全て省いたキッチン」というコンセプトを元に、壁に天板を取り付けた壁付型キッチンとペニンシュラ型で、収納は付けないということは決まっていました。カウンター型のコンパクトキッチンは今も少ないですが、当時は屋外やアウトドア向けのものしかなく、一般家庭向けは殆どありませんでした。

介護用キッチンとしても検討

また、収納を無くすことで足元が広くなるので、「車椅子でも使用可能に出来ないか?」という案が上がりました。実際に車椅子を購入し検証していたのですが、介護用品として試験に出すにはハードルが高すぎて断念しました。シンクや水栓の位置を車椅子の方でも使いやすい位置にしたり、昇降機能なども必須だったため、想定していた価格や機能では介護用品としては売り出せなかったのです。しかし、高さのバリエーションの多さ(H750mm~900mm)など、当時検討していた仕様の名残は残っています。ちなみにその時購入した車椅子はまだ本社の検証施設に取ってあります。

《ミニモラス》の特長

―デザインのポイントを教えてください。

天板手前側の小口部分を斜めにしているので、人の目線上で小口が見えにくい形状になっているところです。シンクも同じように手前に傾斜がついています。これは当時、車椅子で入る時に身体が当たらないようにと考えていた名残ですが、見た目をスッキリさせることにも一役買っています。

天板が斜めになっている

天板が斜めになっている

シンクの手前側は斜めに加工

シンクの手前側は斜めに加工

そして、シンク下の空間をより広く取るために、洗面用の浅型トラップを使っています。
通常のキッチンのトラップは深型が多いのですが、それだと天板から見えてしまう部分が増え、配管カバーにも収まらなかったので、洗面用のトラップを採用しました。ただ、洗面用はゴミかごの目が大きいので生ゴミが網を通り抜けて排水が詰まるということが起こり、トラップの目を細かいものに改良しました。

ミニモラスのゴミかご

ミニモラスのゴミかご

中には洗面用のトラップ

中には洗面用のトラップ

浅型トラップを使うことによりシンク下から見える範囲を最小限に

浅型トラップを使うことによりシンク下から見える範囲を最小限に

通常のキッチン用トラップ

通常のキッチン用トラップ

―開発時に苦労した点はありますか?

正直ありません(笑)。
要望した仕様がすぐに出てきた記憶があります。
製造をお願いしているのは、《コンパクトキッチン430》などをお願いしているステンレス加工を得意としている会社です。《ミニモラス》は基本的に1台ずつ手作業で作っていただいているので、出来ないことがあまり無かったのかもしれませんね。
注文したのも、裏の折り返し部分も掃除する時に手が切れないように仕上げてもらうことぐらいでしょうか…内側でもステンレスだと手が切れる場合がありますからね。溶接痕も丁寧に研磨して目立たないようにしてもらっています。

裏面の溶接痕まで丁寧に研磨してあります

裏面の溶接痕まで丁寧に研磨してあります

―日本の職人さんの丁寧な手仕事がわかる商品ですね!

そうですね。ミラタップ(旧サンワカンパニー)はファブレス経営(生産工場を自社で持たない経営のこと)なので、こうした技術力のある製造パートナーはとても大切ですよね。この会社も昔飛び込みで「自社商品をミラタップ(旧サンワカンパニー)で販売してもらえないか?」と売り込んで来てくださったことがきっかけです。当時東京の有明にショールームをオープンする計画があり、オリジナルのキッチンを作りたかったので製造をお願いしました。その時からもう20年近いお付き合いです。

―おすすめの使用場所はありますか?

昔からなのですが、歯医者さんや美容室、会社事務所の給湯室に使われていることが多いです。仕様のバリエーションも多く、コンロや水栓の開口も無くせるので、フレキシブルな使い方が可能です。良い意味でキッチンっぽくないので、住宅以外の空間でも違和感なく馴染んでくれます。サイズも幅750mm、奥行500mmと通常のコンパクトキッチンよりコンパクトなサイズが選べるので、メインキッチン以外のちょっとした水回りが欲しい時にもおすすめです。

一級建築士事務所 TAKIBI

一級建築士事務所 TAKIBI

長年愛されるデザインを目指して

《ミニモラス》は発売して15年近く経つ商品ですが、仕様も発売時からほぼ変わっていません。売上もずっと安定しています。本当に良いデザインは何年経っても必要とされるのだなと思います。今後もそんな長年愛される商品を作っていきたいです。

長年愛されるデザインを目指して

―これからもロングセラー商品を沢山生み出していきたいですね。

 室田さんありがとうございました!

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