建材・住宅設備の通販ならミラタップ(旧サンワカンパニー) 開発者インタビュー

《オフリー》開発秘話:極上のバスタイムをかなえる、2つのバスタブ

今回は、プロダクトデザイナー倉本仁氏と共に手がけ、2021年に発売されたバスタブ《オフリー》シリーズの開発秘話をご紹介いたします。

《オフリー》開発秘話:極上のバスタイムをかなえる、2つのバスタブ

海外で展示されていたバスルームに魅了され

―《オフリー》の開発はどのように始まったのでしょうか?

2019年にドイツで開催されたISHという水回りの展示会へ出張に行きました。そこのシャワーやバスタブの展示を見て、海外では在来工法のバスルームをすごく楽しんで造っているなと、魅力を感じました。
当時のミラタップ(旧サンワカンパニー)では、既に《バルカ》《グルービーエイト》などのバスタブを取り扱っていましたが、バスタブの新商品が長年出せていなかったんです。だからバスタブの新商品を出したいということで、企画が始まりました。

当時企画を担当した細井

当時企画を担当した細井

ブレストでたどり着いた答え

―プロダクトデザイナー 倉本仁氏と共にカタチにした《オフリー》ですが、どういう進め方で開発していったのでしょうか?

大体の方向性やデザインをミラタップ(旧サンワカンパニー)内で固め、それをより良い形にしていただくという流れで、倉本仁さんと共同開発していきました。
倉本さんとのブレストでは、「そもそもお風呂ってどういう場所なのだろう」というところから一緒に考えていきましたね。バスルームで考え事をしたり、1日を振り返ったり、ゆっくり映画などを観るという人も最近ではいたり…。企画を始めた頃はちょうどコロナ禍で、「コロナ禍のときでも、心安らぐ空間ってバスルームだよね」という意見もあって、”リラックス”をテーマにバスタブの形状を考えていきました。

―《オフリー》は《オフリー ピロー》と《オフリー ハイバック》という、形状が違う2タイプがありますが、2タイプ作ることは最初から決まっていたのでしょうか?

決まっていなかったです。最初は1つだけ作ろうとしていました。
ブレストの過程で、リラックスできるお風呂のイメージは、”露天風呂のように開放感のある、ダイナミックな空間”と、”包まれるような、プライベートな空間”という意見という2タイプの意見があることに気づきました。どちらも分かるし、決められないということで2タイプ作っていくことになりました。

左から、丸みのあるヘッドレストで、開放感のある《オフリー ピロー》と、立ち上がったヘッドレストで包み込まれるような安心感が得られる《オフリー ハイバック》

左から、丸みのあるヘッドレストで、開放感のある《オフリー ピロー》と、立ち上がったヘッドレストで包み込まれるような安心感が得られる《オフリー ハイバック》

―そうなんですね!どちらのタイプもフォルムが特徴的ですが、実際に形にする過程で難しかった点はありますか?

倉本さんの事務所の方が、実寸大の段ボール模型を作成してくださったので、事務所まで実際に入りにいきましたね。《オフリー ハイバック》は、背もたれの角度や丸み、リブの薄さをどれくらいにするかなど、いろんなスタッフが入って意見を出し、その模型を手作業で削ったりしながら微調整していきました。
また、既存で取り扱っているバスタブも参考にしたく、ミラタップ(旧サンワカンパニー)のショールームにも通い詰めてバスタブに入りに行っていました(笑)。

実寸大の《オフリー ハイバック》段ボール模型

実寸大の《オフリー ハイバック》段ボール模型

《オフリー ピロー》は、ある程度形が決まった後、工場で試作品を作ったのですが、アクリル板を型にはめて成型する際の微妙な状況の変化で表面がゆがんだり、丸みが何度やっても左右対象にならなかったり、そもそも規定通りの丸みにならなかったりで大変でした。海外の工場で製作しているので、何回も送ってもらい確認するというのを繰り返しましたね。

規定の丸みに達しないなど、苦労した《オフリー ピロー》試作品

規定の丸みに達しないなど、苦労した《オフリー ピロー》試作品

―その他こだわった箇所はありますか?

質感ですね。《オフリー ピロー》《オフリー ハイバック》も外側はマットで内側はツヤがあります。ミラタップ(旧サンワカンパニー)の他の商品にも合わせやすいように、外側をマットにするところはこだわりました。
内側は肌に触れる部分ですし、掃除も頻繁にすることになるのでツヤっとした質感になっているのですが、その内側と外側の質感の境目もこだわっているんですよ。特に《オフリー ピロー》は境目が目立たないように、工場の人が手作業で研磨してくださっています。

手作業で研磨された、外側のマットな質感と内側のツヤのある質感の境目

手作業で研磨された、外側のマットな質感と内側のツヤのある質感の境目

―《オフリー》と同時にウッドトレーも発売されましたね。

そうですね。これも最初のブレストの時に、「InstagramなどのSNSを見ていると、バス空間を楽しんでいる方はこういったアイテムを使っているよね」という話になりました。
せっかくなので、既存で取扱っていた《バルカ》《グルービーエイト》など、《オフリー》以外のバスタブにも使えるようなヒノキの板にしたいと最初から決めて、作っていきました。

オプションの《ウッドトレー ヒノキ》

―《オフリー》は数々のデザイン賞を受賞しましたね。その時の気持ち、感想など聞かせてください。

自分が関わった企画で賞がもらえるというのは、やはりすごく嬉しかったです。
中でも、《オフリー ハイバック》が「ELLE DECO International Design Awards 2022」(通称:EDIDA)バスルーム部門の日本ノミネート作品に選出されたことは本当に光栄でした。というのも、世界中から最先端のプロダクトデザインが集まるEDIDAの中で、日本を代表するバスタブとして賞にノミネートしていただけたことが、とにかく嬉しかったです。海外のインテリアや建築が多く掲載されるエル・デコの雑誌にも掲載されたので、海外志向の読者や海外の方にも知っていただける機会になったのではないかと思います。

ノミネート記念に頂戴したクリスタル盾

ノミネート記念に頂戴したクリスタル盾

―《オフリー》はどういった場所に採用されていますか?

戸建て住宅や宿泊施設ですね。あとは、サウナ施設にもよく入れていただいています。発売した時期にちょうどサウナが流行りだし、プライベートなサウナ施設も増えたことで、サウナの水風呂として採用いただけているようです。

戸建て住宅 株式会社エコハウス

戸建て住宅 株式会社エコハウス

プライベートサウナ施設 株式会社KAMITOPEN一級建築士事務所

プライベートサウナ施設 株式会社KAMITOPEN一級建築士事務所

―2タイプそれぞれのデザイン意図やこだわりが感じられたインタビューでした。

 細井さん、ありがとうございました!

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