《オッソ》開発秘話:フレームのみで構成された究極のミニマルキッチン
今回は、2013年に発売したシステムキッチン《オッソ》の開発秘話をご紹介します。当時企画・開発を担当した大澤と室田に、開発秘話を聞きました。



機能美と意匠性の融合を目指す
―どのような経緯で《オッソ》の企画が始まったのでしょうか?
(室田)企画がスタートしたのは、ちょうど《グラッド45》の開発業務が落ち着き、発売目前のタイミングでした。落ち着いたとは言ってもまだまだやることはいっぱいあったのに、「もう次の企画!?」と思ったのを記憶しています(笑)。
(大澤)《グラッド45》は、多くのユーザーに選んでもらえるようにデザインしたオールステンレスキッチンですが、もっと“建築家好みの尖ったキッチン”を目指しました。モチーフにしたのは、プロ向けの厨房用キッチンです。無駄を省き機能的で、ステンレスなので清掃性に優れている点が一部のユーザーに人気ですが、そこにミラタップ(旧サンワカンパニー)のエッセンスを加えることで、建築家に刺さるキッチンを創れないか、と企画しました。

当時のラフスケッチ案
―厨房用のキッチンは、フレームだけの無骨な感じが料理好きの男性にもウケそうですよね。
(大澤)昔の台所は“男子禁制”でしたけど、今は男性が料理するのも当たり前ですからね。時代は変わって役割が変わっても、いつの時代も男子はメカメカしいアイテムが好きなので、そういう点も考えてデザインしましたね。フレームキッチンなので、商品名はイタリア語で“骨”や“骨格”を意味する《オッソ》と名付けました。
―《オッソ》は“骨格”という意味だったんですね!プロ向けの無骨なフレームキッチンとは印象が異なりますが、こだわった部分はありますでしょうか?
(大澤)一般的な業務用キッチンでは、フレームは円柱が多いですが、軽さを表現するためL字のフレームにしました。ただ、それだけでは強度不足になるので、L字の両端をカギ型に曲げた複雑な形状にしています。

L字のフレーム

フレーム断面
そのフレームに円柱形のアルミ削り出しの脚を付けていますが、この足の接合部の強度を確保するのは苦労しました。

L字フレームと円柱形のアルミ削り出しの脚
(室田)華奢に見えるデザインですが、揺れ試験や荷重試験をクリアしていますので、強度的には問題ありません。
脚の位置にもこだわっていて、どのサイズでもフレームの配置がシンメトリー(左右対称)になっています。気づかれる方は少ないのですが、すっきり美しく見える理由はシンメトリーだとご説明すると、納得されるお客様は多いですね。

左右対称に配置された脚がすっきりとした印象に
ステンレスの塊が浮かんだようなイメージ
―脚だけでも数多くのこだわりが詰まっていますね!他の部分はどうでしょう?
(大澤)下半分では軽さを表現しましたが、上半分はステンレスの質感を最大限に表現するため、“平面”だけで構成したいと考えました。ソリッドなステンレスの塊が浮いているようなイメージを再現するため、天板を深く曲げて4方向の幕板と一体化したデザインとしました。これほど深く曲げる天板は他社にはない特長です。

曲げの幅を大きくすることで、幕板と天板を一体化し、塊感を表現
(室田)オプションにはなりますが、パンチング加工を施したパネルもこだわりましたね。単なる板のパネルだと重くなってしまうのでパンチング加工にしましたが、透け感の確認のため穴の大きさや間隔は何種類も検証しました。

初回試作

最終試作
自分好みのキッチンに仕上げられる自由度
-オプションもいろいろあるのでユーザーの好みに合わせた使い方が出来そうですね。
(室田)そうですね。ミラタップ(旧サンワカンパニー)のキッチン全般に言えることですが、“痒い所に手が届く便利さ”という点では大手キッチンメーカーに敵いませんが、工夫次第で自分好みに作り上げることが出来るのが《オッソ》の最大の特長だと思います。
ミラタップ(旧サンワカンパニー)のショールームには商品知識豊富なスタッフがいますので、迷った時はスタッフに確認していただければ収納方法をお教えいたします!また最近ではYouTubeでキッチンの収納動画などもあるので、そういったものも参考にされるのもおすすめですね。私も参考にしています(笑)。

―ミラタップ(旧サンワカンパニー)のInstagramアカウントにアーカイブしている、無印良品さんとのコラボで開催したキッチン収納のインスタライブも参考にして欲しいですね。
大澤さん、室田さんありがとうございました!
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