《ペンディーノ》開発秘話:作業台とシンクが一体化した新発想のガーデンシンク
今回は、2023年に発売されたガーデンシンク《ペンディーノ》の開発秘話をご紹介いたします。

開発のヒントはコロナ禍に
―《ペンディーノ》の開発はどのように始まったのでしょうか?
企画が始まったのは、ちょうどコロナ禍で、”おうち〇〇”という言葉をよく耳にする時期でした。その中でも、”おうちキャンプ”や”おうちアウトドア” などのおうちの外でのくらしに注目をしました。
商品企画を進める中で、社内アンケートなどを通して、「外で使用するものをそのまま外で洗えるような水回りがほしい」という声があり、外でも使用できる水回り商品の企画を進めていきました。

企画開発課の島田
徹底した市場調査から導き出したデザイン
―開発で苦労した点、こだわった箇所はありますか?
まず、一般的に使用されている外部シンクの市場調査からスタートしたのですが、Instagramやブログに掲載されている写真を140枚ほどひたすらに集めて、分類しました。すると、外用として使用されているシンクのほとんどが造作で作られていたり、ステンレスの流し台がそのまま置かれていることが分かりました。さらに、どういう作業で外部シンクを使用するのかを探っていくと、バーベキューの網を洗ったり、お魚をさばいたり、ガーデニング作業をしたり、水を使いながら作業ができる水回り商品に需要があることが分かりました。

市場調査の資料
―140枚!分類が大変そうですね…。この調査で使用されるイメージも湧き、デザインフェーズに進んでいったというわけですね。
はい。まず、一般的に使用されている外部シンクのサイズを考えたときに、横幅750mm~900mmくらいのスペースに、作業台とシンクを分けて配置されているものが多くありました。ただ、限られたサイズに作業スペースとシンクを設けると、どうしてもどちらかが狭くなってしまい、シンクの中にバーベキューの網が入らなくて斜めにして洗うとか、魚をさばきたいけど作業台が狭いとか、結局作業しづらそうだなと感じたので、”作業台とシンクを一体化したようなデザイン”にしようと決めました。

シンク内が作業台になるところが特長の《ペンディーノ》
―実際に”作業台とシンクを一体化したデザイン”はどのように形になっていったのでしょうか?
最初は、天板部分だけの模型を作成し、バケツやまな板を置いて深さを検証したり、縁には石鹸やハサミなどちょっとしたものが置ける適度な幅を探ったり、水栓穴はこれくらい必要だからその幅は確保しないといけないなとか、深さや幅、縁の広さなど、ちょうどいいサイズ感を検証しましたね。

あらゆる使用用途が考慮された《ペンディーノ》の天板部
―その他のこだわりはありますか?
水栓位置もこだわりました。《ペンディーノ》は非常に浅いシンクなので、水ハネしないような角度や位置を考えつつ、作業もしやすいようにどこに取り付けるかというのを、水を流しながら検証していきました。水栓セットの水栓は、ディテールにこだわった一文字ハンドルで、《ペンディーノ》のスタイリッシュなデザインによく合う水栓を用意しました。

直線的な一文字形状のハンドルが特長の水栓(水栓セットの場合)
また、これもオプションですが《ペンディーノ用水切りプレート》もサイズ感にこだわっています。プレートの上で作業しても大丈夫かや、物を置いたらどうなのか考え、10mm刻みで試作をして、このサイズにたどり着きました。穴のサイズは、作業するときに物が落ちない、引っかからないサイズを検証するために、紙に印刷して検証していったんですよ。シンプルなものに見えて、実は結構時間をかけています!

穴サイズ、曲げの角度などにこだわった《ペンディーノ用水切りプレート》の細部
―《ペンディーノ》はiFデザイン賞2024を受賞しましたね。その時の気持ち、感想など聞かせてください。
嬉しかったです!《ペンディーノ》は、ステンレスの天板の見付けが5mmと、非常に薄くしています。そういったステンレス加工も日本ならではの技術を使っていたりするので、そういうところも評価の対象にはなったのかなと思っています。ミラタップ(旧サンワカンパニー)だけじゃなくて、日本ならではの技術のアピールにもなっていたら嬉しいです。

極限まで見付けを薄くした天板
―根気のいる市場調査を経て、使う人のことを想ってデザインされた《ペンディーノ》。バーベキューや釣り、家庭菜園など、アウトドアが趣味の方にぜひご使用いただきたいですね。
島田さん、ありがとうございました!
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