《ピロリ》買付秘話:イタリアの風を運ぶ、気分を彩るパステルカラーの洗面ボウル
今回は、2025年5月に発売された普遍的なデザインを心躍るパステルカラーで新鮮に彩った、イタリアSDR社製の洗面ボウル《ピロリ》の買付秘話について、担当した八田に話を聞きました。

人とのつながりが生んだ、イタリアメーカーとの出会い
―まず、今回ミラタップで初採用となるイタリアのSDR社と、どのようにして取り扱うことになったのか、きっかけを教えていただけますか?
実は、SDR社の担当者は、元々取引のあった別メーカーで10年程担当してくれていた方で、その方からの紹介がきっかけでした。別メーカーを退職後にSDR社に転職し、「ぜひミラタップで扱ってみないか?」と声をかけてくれたんです。
SDR社は、イタリアの多くの専門メーカーと同じく、家族経営で事業を展開している会社です。ヨーロッパ以外、特にアジア圏での販売実績はほとんどなく、日本への進出も初めてでした。そんな彼らにとっても、私自身も、まさに新しい挑戦の始まりでした。

買付を担当した八田
“深さ”と“色彩”の新たな潮流。ミラノサローネで見出した可能性
―SDR社との出会いから、すぐに《ピロリ》の商品化が決まったのでしょうか?
いえ、最初からこの《ピロリ》に注目していたわけではありませんでした。当初送られてきたカタログでは、まだピンとくるものがなかったのですが、転機が訪れたのは2023年の年末、彼らが「ミラノサローネの新商品として、こんな洗面ボウルを出すんだ」と、《ピロリ》のリーフレットを見せてくれた時がきっかけでした。

そのデザインは、シンプルで普遍的な箱型でありながら、しっかりとした深さがありました。私自身もこの頃シンプルな深型の洗面ボウルを探していた時期でもありましたし、ちょうどその頃、コロナ禍を経て手洗い習慣が世界的に定着し、イタリアでも浅い洗面ボウルから水撥ねのしにくい深型ボウルの需要が高まっていたんです。まさにトレンドを捉えた形でした。
そして何より魅力的だったのが、パステル調のカラーリングです。2024年のサローネで実物を見た時、その美しさと会場での好評ぶりに「これはいける!」と確信し、本格的な採用へと舵を切りました。

2024年ミラノサローネSDR社展示ブース
普遍的なデザインを、新鮮な“色”で楽しむ
―《ピロリ》の買付における、こだわりのポイントを教えてください。
一番のこだわりは、やはり「色」と「形」のコンビネーションです。デザイン自体は非常にベーシックな箱型。しかし、そこにマットで柔らかなパステルカラーを乗せることで、これまでにない全く新しい価値観を持つ洗面ボウルになったと感じています。ベーシックなものが、色一つでこんなにも違った表情を見せるんだ、という発見がありました。
また、デザイン性だけでなく、ジャブジャブ気兼ねなく洗える実用的な「深さ」も大きな魅力です。まさにデザインと機能性が両立した商品と言えます。

トレンドと調和を意識した、心躍るカラーパレット
―カラーバリエーションはどのように選定されたのですか?
メーカー側では10色ほどの展開がありましたが、その中から日本の空間に合う色、そしてトレンド感を意識して4色選びました。例えば、《ローザマット》は、当時公開された映画『バービー』の影響で世界的にピンクが注目されていたこともあり、イタリアの担当者からも「ローズ(ピンク)がいいよ」と強く勧められたカラーです。
ただ、パステルカラーだけでは少し挑戦的すぎると感じたので、空間に落ち着きと調和をもたらすカラーとして《カフェマット》や《パンナマット》もラインアップに加えました。《カフェマット》は、ただのありきたりな茶色ではなく、ココアやミルクチョコレートのような、温かみのある絶妙な色合いが特徴です。《パンナ》はシンプルなホワイトのカラーリングです。
初めての海外パートナーシップ。文化を越えて“品質”を追求
―初の海外メーカーとの開発で、苦労した点はありましたか?
やはり、品質に対する考え方の違いを乗り越えることですね。SDR社の担当者は日本の市場や品質基準をよく理解してくれていたのですが、その先の工場スタッフにまで想いが浸透するには時間がかかりました。レスポンスは非常に早いのですが、送られてくるサンプルがオーダーしたものと毎回少しずつ違っていたりして、「ここはこうじゃないよ」と細かなニュアンスを伝えるのに根気が必要でした。日本の「当たり前」を一つひとつ丁寧に伝え、品質を追求していく過程は、まさに文化を越えたコミュニケーションの連続でしたね。
―どんな空間で使っていただきたいですか?
シンプルな形状なので、住宅はもちろん、幼稚園や保育園といった施設でも可愛らしく収まると思います。実際にショールームでお客様からもそういったお声をいただきました。また、ランドリールームなどで、気兼ねなく使えるセカンド洗面としてもぴったりです。
一番人気は、W500カフェマットですが、個人的には、このボウルの形の良さは、大きいサイズの《ピロリ 800》でより際立つのではないかと感じています。

今後は、グリーンのタイルやカラフルな壁紙と組み合わせるなど、このボウルが主役になるような空間提案も積極的に行っていきたいですね。
この《ピロリ》をきっかけに、洗面空間のコーディネートの幅がもっと広がれば嬉しいです。

―色や形に込められたストーリーを知ると、ますます愛着が湧いてきます。《ピロリ》が、これからの洗面空間に新しい彩りを与えてくれることを期待しています。
八田さん、ありがとうございました!
インタビューで紹介した商品はこちら
商品の詳細は、下記の商品ページからご覧ください。