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《ハトリアスリム》買付秘話:20年の時を経て、イタリアの定番モデルが現代の空間へ

今回は、ハトリア社との出会いから2025年5月に発売されたミニマルなデザインと機能性を両立させた新しい洗面ボウル《ハトリアスリム》の買付秘話について、担当した八田に話を聞きました。

《カクレール》

20年の歴史を持つロングセラーをリニューアル

―はじめに、《ハトリアスリム》を取り扱うことになったきっかけを教えていただけますか?

買付を担当した八田

買付を担当した八田

実は、当社とイタリアのハトリア社との付き合いは2005年からはじまり、もう20年になります。
当時、ECサイトで販売するために海外へ買い付けに行き、片っ端からカタログを集めて、帰国後色んなメーカーからサンプルを入手し、採用を決めたのがハトリア社の洗面ボウルでした。現地に買い付けに行ったのがはじめてなので、社名を伝えても、誰も私たちのことを知らない状態。交渉も試行錯誤でした。さまざまな形状のボウルのサンプルがある中でシンプルな丸形と、やや四角いタイプと、日本にはあまりなかった形をチョイスしスタートしました。おかげさまでシンプルな形状のモデルは、長年お客様に愛されるロングセラー商品となりました。
ECサイトにメーカー名を載せるのに、【ハトリア】なのか【ハートリア】か、何度もイタリア人に確認したことも今ではいい思い出です。
ネーミングについても、メーカーのオリジナルは【ハッピーアワー 17:00】や【ハッピーアワー 2:00】という抽象的な名前だったのですが、それでは日本では通じないと思った当時の担当者が、ハトリアスクエアやサークル、プレートといった、わかりやすい名前に変更しました。今回の新商品もそのネーミングを継承しています。

2012年チェルサイエでのハトリエ社ブース

2012年チェルサイエでのハトリア社ブース

当時のモデルも発売から時間が経ち、デザインが少しクラシックになってきていました。メーカーではイタリアに従来品を扱う工場と新しいものを生み出す工場があり「エッジの薄いモダンなデザインの新しいものに変えてはどうか」と提案がありました。それが、この《ハトリアスリム》でした。ちょうど当社でもリニューアルを検討していたタイミングでの話だったので、これは良い機会だと思いました。何度もオンラインでメーカーと打ち合わせを重ねて、去年のサローネでショールームへ現物を確認しに行きました。
たくさん形がある中で、なるべく継承できるようなシンプルなタイプを採用しました。

2025年ハトリア社ショールーム

2025年ハトリア社ショールーム

現代の空間に調和する、薄く洗練されたデザイン

―旧モデルから、デザインはどのように進化したのでしょうか?

一番大きな変化は、ボウルの縁(エッジ)の薄さです。旧モデルは陶器らしい丸みがありましたが、《ハトリアスリム》はエッジが薄く、まるで陶器とは思えないほどシャープでスマートな印象になりました。
形状は、スクエア、サークルといった普遍的な形をベースに、現代の多様なインテリアに合わせやすい3つのデザイン(レクタスリム、オーバルスリム、プレートスリム)を選びました。例えば《ハトリアスリム》は、柔らかな四角いフォルムの中にエッジの効いた角のデザインを取り入れており、ありそうでないユニークな形が特徴です。それぞれ少しずつ表情が違うので、空間のイメージに合わせて選ぶ楽しみもあります。

旧モデル

旧モデル

新モデル

新モデル

トレンドを捉えたカラーと、ディテールへのこだわり

―カラー展開も魅力的ですね。特にこだわったポイントはありますか?

はい、カラーは海外のトレンドを意識して、サンド、フロスト、ブルーブラックという、くすみ系の3色を選びました。特にこだわったのは、排水口の金物までボウル本体と同じ色で統一したことです。

―ボウルと同色の目皿に統一していく上で相当苦労されたと聞きましたが・・・

実はこれを実現するのが一番大変でした。排水金物は、各メーカーで形状や付属のパッキンなど仕様が微妙に異なり、全ての色と近い金物部材の形状を、日本で扱いやすいものとして特別にメーカーで揃えてもらうのにとても苦労しました。何度もサンプルを取り寄せ、水漏れ検証等を重ねてようやく実現しました。同時期に発売したスカラベオ社の《スキニブル》、SDR社の《ピロリ》においても、このカラー目皿を実現させる苦労は同じでした。
先日、セミナーでショールームにご来場いただいたインテリアコーディネーターの方から「排水金物が揃っていると、空間の美しさが格段に上がりますね」というお言葉をいただき、苦労した甲斐があったなと感じています。カラー水栓と合わせても一体感が生まれ、ノイズレスで洗練された空間を演出できます。

洗面ボウル

見えない部分の機能性「アルケミー」

―デザインだけでなく、機能性も高まっているそうですね。

はい、表面にはハトリア社独自の「アルケミー」という特殊な加工を施しています。これにより、抗菌・防汚・撥水の3つの機能が備わっています。
開発段階で、この加工が施されていることを知らない時期に撥水テストをしたのですが、あまりにも水を弾くので「ワックスでも塗っているのでは?」と疑ったほどです(笑)。このロータス効果(蓮の葉効果)によって水滴が残りにくく、水垢の付着も防ぐので、毎日のお手入れが簡単になり、衛生的に、そして安心して長くお使いいただけます。

―デザインだけでなく、機能性も高まっているそうですね。

どんな空間にもフィットする、使いやすさの秘密

―《ハトリアスリム》は、どのような空間におすすめですか?

一番のポイントは、奥行きが全て380mmとコンパクトなことです。日本の住宅では洗面カウンターの奥行きが限られていることが多いのですが、このサイズなら省スペースにもすっきりと納まります。
発売から2ヶ月ほどですが、一番人気があるのは《ハトリアオーバルスリム》のサンドです。やはり、どんな空間にも馴染みやすい柔らかな色と形が受け入れられやすいのだと思います。ゴールド系の水栓との相性も抜群ですね。同時期に《ルシッソ混合水栓》を発売しましたが、その水栓とのイメージ写真を見られて一緒に購入いただくケースが多いですね。

洗面ボウル

個人的にはブルーブラックもおすすめです。現物を見ると、とても格好良いブルーなんです。コンクリート打ちっ放しのようなインダストリアルな空間に合わせると、デザイン性の高さが際立ちます。また、フロストはインテリアコーディネーターの方から「迷ったらグリーンを選べば間違いない」と伺ったことがあり、葉の色のようにどんなテイストにも調和する万能カラーです。

―長く愛されてきた商品が、さらに魅力的になって生まれ変わったのが伝わり、ますますお客様に愛される商品になりそうです。

 八田さん、ありがとうございました!

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